NPO法人と他の法人の違いとは?

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NPO法人と他の法人の違いとは?

NPO法人は、そもそもの主旨、目的の違いから、一般社団法人、株式会社等と法制度や運営上異なる点があります。下記に主な相違点をご案内いたします。

設立の難しさについて

株式会社等が、登記の要件さえ満たせば設立できるのに対し、NPO法人は所轄庁の認証を得られなければ設立が出来ません。その為には形式的な要件を満たした申請書類を準備する必要があります。東京都での設立の場合、設立申請受理数に対する認証数の割合は約75%となっております。この為、設立完了までの時間を短縮するためには、プロの活用をお勧め致します。

東京都を除く多くの所轄庁の場合、事前の確認を経た上での申請手続きが原則となります。申請書類が形式要件を満たさない場合、再提出が必要となり、申請受理まで時間がかかることになります。

定款変更について

一般的には(一般社団法人、株式会社等)、定款変更は総会決議が要件とされます。NPO法人の場合、総会での特別多数要件による決議が必要となり、加えて変更内容により、所轄庁への届出か認証が必要となります。認証の場合には公告、縦覧の手続きをとることから、かなりの期間を要することになります。なお、特別多数要件とは、社員総数の1/2以上の出席、かつ出席者の3/4以上の賛成という極めてハードルの高いものです。

社員総会の定足数について

特定非営利活動促進法(以下、法)では、総会の定足数についての定めがありません。定款で、法人の意思決定に足ると考えられる範囲で決めることになります。

理事会について

理事会が法定の機関ではありません。法では、「NPO法人の業務は定款に定めのないときは理事の過半数で決する」としています。このため、任意で理事会を設置し、社員総会と理事会で決議する内容を分けて定款に定めることが、実務上便利です。

公告について

解散時と清算時の公告が官報に指定されています。よって、「公告の方法は官報に掲載する」と定めてしまう方法が一般的です。

名称について

法では、類似商号を禁止する規定がありません。また、「特定非営利活動法人」の名称を付けることも法定されていません。一方、東京都の「NPO運用方針」によれば、個人の功績の賛美、他の個人、団体、法人への利益誘導等の誤解を生じる名称は不適切とされます。

事業報告書等の報告義務について

NPO法人は、毎年事業開始後3ヵ月以内に前年度の事業報告を所轄庁に提出する必要があります。この3年以上提出義務を怠った場合、最終的には認証取り消しとなります。東京都の場合、年間数十団体に上る認証取り消しが公表されていますが、そのほとんどが3年間以上の事業報告書未提出であることを原因とするものです。

資産総額の変更登記について ※法令の改正により不要となりました。

NPO法人は、資産の総額が登記事項となっています。通常、資産総額は毎年変動するため、毎事業年度終了後2ヵ月以内に変更登記をする必要があります。なお、NPO法人の登記には登録免許税が課せられません。

NPO法人に対する課税について

NPO法人は、法人税法上の収益事業(34種類)から生じた所得に課税されます。この場合、特定非営利活動の所得であるか、その他の事業の所得であるかは関係ありません。東京都をはじめ多くの地方自治体では、法人住民税の均等割りについても免除の制度があります。この場合、収益事業を全く行っていないことが条件になります。消費税については、一般の法人と同様の課税となります。

課税の要件については、文言のみで判断するのではなく、事実認定の要素が大きいため、税務当局への確認や税理士への相談が不可欠です。

NPO法人の設立認証の取消しについて

法令に基づいた運営がなされない法人に対しては、認証取り消しの処分が行われています。主には事業報告書等未提出が原因のようです。東京都の場合、過去4年間で約150法人が処分を受けています。

NPO法人数の現状について(2022.3末現在)

全国計 50,786法人 申請受理数 51,928法人、不認証数 812法人

解散数 22,342法人 認証取消数 4,544法人

NPO法人の登記について

改正NPO法により、特定の理事(理事長等)のみが法人を代表する旨の定款の定め(例:「理事長は、の法人を代表し、その業務を総理する。」等)がある場合には、 その理事以外代表権をもたない登記をすることになります。既存のNPO法人にあっては変更登記が必要です。